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割増賃金の算定方法

 今回は「割増賃金の算定方法」を書こうと思います。

 前に書いた記憶が有りますが、昨年、Kmが乗務員14名から「歩合給から残業代を差し引く賃金規則は無効である」として未払賃金の支払いを求めた訴訟を起こしました。その結果、第1審、第2審とも「労基法37条の趣旨に反し公序良俗違反」で賃金未払いは無効とし原告側が勝訴しました。

 しかし、上告審の最高裁は無効とまでは言えず審理不十分として差し戻しました。その結果、高裁は「賃金規則は有効」との判断を下しました。無効判決から一転、原告敗訴となりました。これがKm未払い賃金訴訟の外略です。

 Kmは賃金規則上、形式的には時間外手当が支給されていますが、発生した時間外手当分、歩合給を減額して合算しており、実質的に時間外手当が支払われていないとされます。換言すれば、残業代がいくらになっても合計支払額が変わらないとの事と同じです。

 条文は割愛しますが労働基準法の37条は「時間外、休日及び深夜の割増賃金」に対する規定です。1審、2審ともこの趣旨に反し無効とし原告側が勝訴しました。しかし最高裁は無効とまでは言えず審理不十分として差し戻して、差し戻し審では一転「賃金規則は有効」との判断を下しました。原告敗訴デス。

 纏めると事案の概要は、14名の乗務員は「残業代がいくらになっても合計支払額が変わらないこの様な賃金体系は労基法に違反し無効である」として提訴しましたが、1審、2審とも勝訴しましたが、差し戻し審んで一転敗訴しました。

 判例では「基本給の内割増賃金に当たる部分が明確に区分さえれ合意され、かつ労基法所定の計算方法による額がその額を上回るときはその差額を支払うことが合意されている場合」には有効であるとしています。つまり、最高裁は、「通常の賃金と割増部分を明確に判別できるか否か、できる場合に労基法所定の割増額を下回らないかの審理が十分に行われていない」として差し戻した事になります。要は判例に沿った審議が十分に尽くされていない事を理由に差し戻ししました。

 最後に割増賃金の算定方法は、通常の労働時間の賃金に各割増率を掛けて算出することになります。通常の賃金の総額を1ヶ月の平均所定労働時間で割り、1時間あたりの賃金を算定して、そこに割増率を掛け、さらに時間外労働時間を掛けることによって割増分の賃金が算出出来るという事です。


 要は、時間当たりの割増賃金額を計算し、その値に残業時間を掛けた値が割増賃金額になります。

 法的解釈がどうあれ、残業代がいくらになっても合計支払額が変わらないのは、第1審、第2審の述べている様に「公序良俗」に反すると思うには自分だけでしょうか?

 これには第2話が有り、前回書いた「会社を訴えたら、雇止め」へと繋がります。

 換言すれば、残業代不払い訴訟→Kmの逆転勝訴→乗務員の雇止め訴訟→第2審も乗務員の勝訴・・・デス。何だかな~ って気分です。因みに当該Kmは現在この制度は改められているそうです。
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