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日本の自動運転と国際条約

 今回は日本の自動運転と国際条約を書こうと思います。

 前に自動車運転に関する国際法として「ジュネーブ道路交通条約」と「ウィーン道路交通条約」が有ると書きました。「ジュネーブ道路交通条約」は、1949年に「道路輸送および自動身輸送に関する国際連合会議」がスイスのジュネーブで開催された時に決められました。

 日本はその当時、戦争に負けて連合軍に占領されている時代だったので未加入でしたが、国連加盟後の1964年に加入して今に至ります。仮に、車の運転や自動車そのものが国によって全然違うものだったら困るので、それぞれの国情は考慮しつつも、ある程度は統一しようと定められたのが、この「ジュネーブ条約条約」になります。

 「ジュネーブ条約」第8条第1項、同第5項、第10条により、走る車にはドライバーが絶対いなければならないとされています。つまり、運転そのものは自動運転システムが行うとしても、ドライバーはそれを制御下に、つまり監督下に置いている必要があるため「完全自動運転」自体が国際条約で認められていません。

 そのため、自動運転について日本で認められるのは、運転手がいつでも操作できる状態にある「レベル3」までになり完全自動運転は認められていません。

 しかし現在は特例として実験的に「レベル4」の完全自動運転車の走行が認められていますが、本格的に認めるのは条約違反になってしまいます。

 では条約を脱退してしまえば良いのかというと、道路交通条約を批准している国同士で有効な「国際免許証」も認められなくなるので、日本で発行された国際免許証では、どこの国でも運転できなくなってしまいます。

 1968年にオーストリアのウィーンで締結された、「ウィーン道路交通条約」も有ります。主にヨーロッパの国の間で締結された条約で、日本や米国は加入していないのですが、こちらでも自動運転は認められていません。

 しかし、2014年にウィーン道路交通条約の改正案が採択されて、「人間が運転する操作は自動運転を優先し、決して暴走しないこと(オーバーライド機能)」、「自動運転機能のスイッチはオフにできること」という条件つきながら、レベル4の完全自動運転が認められました。発行されればウィーン道路交通条約加盟国ではレベル4自動運転が認められるのです。

 ジュネーブ道路交通条約も国連で改正が議論されていてますが、現在では自動運転車が実用化されても運転手が不在にはできません。

 さらに、国際条約の改正後も、「国内の道路交通法」ではも完全自動運転は制限されているので、自動運転システムを作動させていても運転席でいつでも運転できる体制にいないと、取り締まりにあってしまうので注意が必要です。

現在、欧州諸国が参加するウィーン条約の改正でされましたが、日米が参加するジュネーブ条約の見直しは、加盟国の3分の2の同意が得られず、改正の動きが止まってしまっています。

 国際条約に対する解釈が日本とアメリカでは違うので、アメリカは州の権限において州法の整備を独自に進めていますが、順法精神が強い日本ではちゃんと規定するなり改正するなりして進めようとしていました。

 それまでは非常に厳しかったのですが、今回は、警察庁が日本でもジュネーブ条約を独自解釈し、公道での自動運転の実験は届け出なく実施できるようになりました。

ジュネーブ条約の国連の道路交通安全作業部会において、2016年4月、運転手そのものが車内にいるかどうかに関わらず、遠隔操作型の自動運転が実験できるようになりました。

 又、レベル3において問題になるのが責任の所在になります。ドイツでは、昨年5月の法改正で、事故の瞬間に、権限がシステムにあったのかぞれとも人間にあったのかを判別できるように義務付けられました。

 まだまだ解決する問題は山積みの様です。2020年まであまり時間がありませんが、法整備は間に本当に合うのでしょうか?

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