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「助け合い輸送と謝礼」

 今回は「助け合い輸送と謝礼」について書こうと思います。

 地域の助け合いやボランティアによる移動制約者の移送等において、支払われる対価の額が、実際の運送に要したガソリン代、道路通行料、駐車場代に限定されている場合など、必ずしも道路運送法の登録を必要としない場合があります。

 昨今、非営利型・自家用ライドシェアのマッチングアプリで、謝礼システムの強制性が問題視されていました。道路運送法の改正の付帯決議を受け国交省は道路運送法の登録を必要としない例を「事務連絡」により示しています。

その中に謝礼に関する項目が例示されていて、『サービスの提供を受けた者からの給付が「好意に対する任意の謝礼」と認められる場合』は道路運送法の登録を必要としませんでした。

要は上記、「道路運送法の登録・許可を要しない運送の態様」を事務連絡から通達に引き上げられた事です。

「事務連絡」は法的根拠のない手紙で、「通達」は主に行政機関においで、上級官庁から下級官庁にだされる上記と同じ事務連絡になりますが、事務連絡と違うのは「公印」が押された正式な文書になります。

 ここで問題になるのは、「謝礼」を正式な公文書として定義付けた事になると思います。「謝礼」は通達では、自発的、好意に対する任意、と定義付けしています。

 通達では「運送行為の実施者から対価の支払いを求めた、事前に対価の支払い合意されていたとの事実が無く、あくまで【自発的に、謝礼の趣旨】で金銭などが支払われた場合は、有償とは懸念されない」としました。

 一方有償とされるのは、「あらかじめ運賃表などを定め、それに基づき金銭の授受が行われる場合」、「会費の全部または一部によって運送サービスの提供に必要なコストが負担される場合に利用者から収受される金銭でも、反対給付の関係が認められる場合」の様です。

 ライドシェアマッチングアプリに対しても、「仲介者がウェブサイトなどで謝礼の誘引文言を表示し、又は謝礼の有無・金額により利用者を評価する事などにより、謝礼の支払いを促す場合」、「利用者に対し、謝礼の決定をしなければ、ガソリン代、通行料の決済ができない仕組みを提供する場合」と明記しました。

 この記事を見た時、今は「謝礼」の意味まで通達で示さなければならない?のかと情けなくなりました。大辞林には「謝礼」の意として、感謝の気持ちを表す金品。お礼。となっています。法律は突き詰めると解釈論ではないでしょうか?仮に解釈の相違が有る事を判断するのが裁判だと思います。

 道路運送法の78条には、「自家用自動車は、以下の場合を除き、有償で運送の用に供してはならない」とされています。1・災害のため緊急を要する場合、2・市町村、NPO等が市町村の住民等一定の旅客の運送を行うとき、3・公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、地域又は 期間を限定して運送を行うとき。

 上記以外の時は、自家用車を使って金銭の授受を行って輸送する事は、道路運送法上、本来できないはずですが、通達では昨今、「有償」≠「謝礼」とする謝礼システムの強制性に関する事案が有ったので、事務連絡から通達に引き上げられました。

 いつの世も、「法の隙を突く」考えは無くならない様です。

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