タクシーの2024年問題
所謂、「2024年問題」とは、働き方改革関連法の施行に伴って起きると想定されている問題で、同関連法では、2023年4月に実施される事項もあり、それが、中小企業において、時間外労働月60時間超部分の賃金が割増率50%以上になることです。
(2023年3月31日までは、1か月の時間外労働時間が月60時間超の残業割増賃金率は、大企業は 50%、中小企業は 25%でした。
ですが、60時間以下では大企業も中小企業も25%と同じでした。で、2023年4月1日から月60時間超の残業割増賃金率は大企業、中小企業ともに50%になりました。
ここまでだと、タクシー会社も残業割り増し賃率が25%から50%になるのですが・・・・・
抑々、タクシーは法定労働時間を超えて働かせる場合や、法定休日に出勤して働かせる場合には、事前に「時間外・休日労働に関する協定=いわゆる36サブロク協定」を労使間で締結して、所轄の労働基準監督署に届出しておかなければならない、というのは皆さんご存知だと思います。
36協定で締結しなければならない内容は7項目有り、問題はこの「延長することができる時間数」になります。
一般業種の場合は、改正労働基準法により、延長させることができる「限度時間」は、1ヵ月については45時間まで、1年については360時間まで、と決まっているので、タクシー会社の場合、乗務員以外の、運行管理者、整備、配車、事務職の人などについては、この限度時間内で延長できる時間を定めることになります。
労働基準法32条で、法定労働時間は1日8時間、1週40時間と定められていますがこれには例外があり、労働基準法32条の2の「1か月単位の変形労働時間制」や、32条の4の「1年単位の変形労働時間制」などを採用していれば、1日8時間や1週40時間を超える所定労働時間を定めることができます。これが前記した36協定になります。
では無制限に労働時間を定めても良いのか?という疑問が起こりますが、自動車運転者の労働条件改善のために、昭和42年、「自動車運転者の労働時間等の改善基準」(昭和42年2月9日 基発第139号)という行政通達(いわゆる「2・9通達」)が出されました。
その後、何回かの通達が出され、平成元年、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第7号)が大臣告示され、これが、現在の改善基準になります。
隔勤の場合は現在の、拘束時間1箇月262時間 になり、地域的事情その他の特別な事情がある場合や、労使協定があるときは、1年のうち6箇月までは270時間まで延長可、勤務日は2暦日 で21時間になり、今と変わりません。
36協定では、勤務交番の多くは、1か月単位の変形労働時間制によって運用されており、法定労働時間の枠※一杯で所定労働時間を定めているケースが多いと思います。
法定労働時間の枠とは、暦日数が30日の月は40時間×30日÷7日≒171.4時間、暦日数が31日の月は40時間×31日÷7日≒177.1時間になりま、タクシーの場合、12勤だとそれぞれの1日の法定労働時間は、≒で14.3時間/日と14.7時間/日になります。
隔勤の場合の拘束時間は1箇月262時間なので、12勤だとすると262時間÷12勤務≒21時間/日になります。
長くなりましたも少しで終わります(笑)
労働時間と休憩時間が拘束時間になるので、1ヶ月の時間外労働時間の限度時間=1ヵ月の拘束時間262時間⁻1ヵ月の法定労働時間の171.4時間又は177.1時間―1ヶ月の休憩時間で求められます。
結果、12隔勤で1日3時間休憩を取ると1ヶ月の休憩時間は36時間、法定労働時間171.4時間、法定拘束時間262時間とすると、262時間―(171.4時間+36時間)=54.6時間になり、法定労働時間が177.1時間の時は48.9時間になります。
なので、非常に長くなって恐縮ですが、2024年問題の割り増し率が50%にアップは・・・・・どうやらタクシーには関係が無い様です。
とりま、月60時間を超える時間外労働を深夜(22:00~5:00)の時間帯に行うと、深夜割増賃金率25%+時間外割増賃金率50%=75%となります。
ほゞほゞ深夜に遠方え物資を運搬しているトラックの人が該当する?