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足切

  今回は「足切」を書こうと思います。


 私見ですが、業界の「足きり」とは、よく乗務員同士で、「あの会社の足切りは〇〇円で△△%なんだって」という話をします。この意味は〇〇円までの営収だと△△%で〇〇円以上の営収があると、歩率が大きく」上がるので、〇〇円の営収が最低歩率の△△%になってしまう最低営収金額の事を「足きり金額」と解釈します。


  ですが、厚生労働省の労働基準監督署の「足切」の考え方は少し違う様で、「累進歩合」の事を例にとると、累進歩合は所謂、階段状に歩率が高くなる歩合制度で、例えば、営収50万円までは歩率50%55万円以上は55%60万円以上は60%になる様に、要は、歩合が階段状に上がる方法です。


  労働基準監督署の方は、この50万円、55万円、60万円の金額を「足切」金額としています。労働基準監督署の言っている意味は分からないでもないですが、現場で使っている感覚とは一寸違うような気がします。


  又、労働基準監督署のは累進歩合と積算歩合に「固定給」を例に出して説明していますが、自分が知っている限り、現在「固定給制」を使用している会社はないはずで、殆どの会社は完全歩合制かAB賃です。


  基本給と固定給は全く異なるもので、基本給は最低賃金×14時間~16時間×11勤から12勤で計算されるので、1日休めば1日分の基本給が控除されます。


  例を出すと、横浜の最低時給は1,040円なので、稼働時間14時間で12勤務の隔勤だとすると、基本給は、1,040円×14時間×12勤=174,720円になり、1日休むと1,040円×14時間×11勤=160,150円となり、当然ですが12勤とは14,560円少ない金額になります。


  なので、固定されていないので、決して「固定給」ではないはずです。足切のある場合の歩率計算を図示して、運賃収入等がA以下の場合


賃金=固定給


1: 運賃収入等がAを超えB以下の場合


賃金=固定給+(運賃収入等-A)×歩率a%


2: 運 賃収入等がBを超えC以下の場合


賃金=固定給+(B-A)×歩率a%+(運賃収入等-B)×歩率b%


3:運 賃収入等がCを超えた場合


賃金=固定給+(B-A)×歩率a%+(C-B)×歩率b%+(運賃収入等-C)×歩率c%、計算例を出していますが、ここでも「固定給」という言葉を使用しています。因みに、ABCは営収になります。


  この計算式では、タクシー乗務員の保障給については、「93号通達」の中で次のように述べられている、


「歩合給制度が採用されている場合には、労働時間に応じ、固定的給与と併せて通常の賃金の6割以上の賃金が保障されるよう保障給を定めるものとすること」の6割を達成する事はできません。


  前にも書いた記憶が有りますが、「通常の賃金の6割以上」の考え方として、同通達では、①「通常の賃金」は、各人の標準的能率で、通常の労働時間(勤務割に組み込まれた時間外労働及び休日労働の時間を含む)を満勤した場合に得られると想定される賃金額(時間外労働及び休日労働に対する手当を含む)である。とされ、具体的には、各人ごとの過去3カ月程度の賃金の総額を、その期間の総労働時間で割った時間単価の6割以上を保障給の単価とする、としています。


  なので、「足切」依然の問題として、今の歩合給与体系では、「足切」や営収にかかわらず通常の賃金の6割以上は・・・・無理でしょう草。


  正月早々から暗い話でスマソ感満載で草。



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