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休業協定書

 今回は「休業協定書」を書こうと思います。

 この耳慣れない「休業協定書」とは、景気の変動や産業構造の変化等により、一時的に休業を行わなければならない場合に労働組合や労働者の過半数代表と締結する休業に関する協定で、本来、官公庁への届出義務は特になく法定保存期間も特に有りません。

 なので、休業に関しては、必ずしも休業協定が必要なわけでは無いですが、休業を実施することは労働者に不安を与えることになる為、労使間で事前に協定することで、この不安の解消や失業の防止につながると考える事が出来ます。

 が、例外が有り、現在のコロナ禍で「雇用調整助成金」を受給するためには、労使間の協定による休業であることが必要なので、この休業協定書を締結する必要があります。又、関連法規では労働基準法 第26条(休業手当)の「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。」となっています。

 何回も書きましたが労基法では、平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日の前日から遡る歴日で3ヵ月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額と規定されています。

 式で書くと、平均賃金 =事由発生日以前3 か月間の賃金総額÷事由発生日以前3 か月間の総日数、という事になります。

 本来、平均賃金は個人個人異なるものですが雇用調整助成金での平均賃金は、①前年度1年間の雇用保険の保険料の算定基礎となる賃金総額(円)、②前年度1年間の1箇月平均雇用保険被保険者数(人)、③前年度の年間所定労働日数(日)を①×➁×③で求めます。要は、その事業者全体の平均賃金を求める事になります。

 仮に支給率を最低基準の平均賃金の60%とする場合、月給制で、通勤手当や残業代含む総支給額30万円/月で4月休業日数24日の場合、(30万円+30万円+30万円)÷(31日+29日+31日)=9,890円(小数点第2位未満切捨)、 9,890.10円×60%=5,934円(小数点以下四捨五入)、 5,934円×24日=142,416円という事になります。

 しかし、事業者の1日の営収が13,883円以上だった場合、仮に15,000円だだったとすると15,000円×60%×24日=216,000円になるので、依然の基準では上限の8,330円×24日=199,920円が支給される事になります。

 あくまで60%は最低基準なので60%以上支給する事は可能ですが、上記の15,000円の時は216,000円―199,920円=16,090円会社が負担しなければならない事になります。・・・・無理でしょう。草

 仮に支給率を100%にしていれば支給額の上限が15,000円に引き上げられた以降、最低でも平均賃金が計算上15,000円に近くなっても事業者の負担なく支給額は上がった様に思います。

 今更「休業協定書」の改定は無理な様な気がしますが、会社からそんな話は一向に聞こえません。要は、締結済の「休業協定書」の変更ができるかどうかです。

 逆に言ってしまえば、「休業協定書」の変更無くして支給額8,330円から15,000円になっても結局「絵にかいた餅」でしか有りません。草

 支給率を従前から100%にしていた奇特なタクシー会社は皆無の様な気がします。(>_<)草

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