SSブログ

歩率6割の根拠

 今回は「歩率6割の根拠」を書こうと思います。

 前にタクシー乗務員の給料体系で、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準について」の、第三の「労働時間等の取扱い及び賃金制度等に関する基準」の(二)の賃金制度等」のイの「保障給」の項で、「歩合給制度が採用されている場合には、労働時間に応じ、固定的給与と併せて“通常の賃金の六割以上”の賃金が保障されるよう保障給を定めるものとすること。」とされています。要は、「歩合給は通常賃金の6割は払ってネ」という事です。

 又、(二)の「賃金制度等に関する留意事項」で歩合に関する詳細を決めています。問題は“通常の賃金”をどの様に算定するかです。これも記載されていて、「通常の賃金」とは、原則として、労働者が各人の標準的能率で“歩合給の算定期間”における通常の労働時間(勤務割に組み込まれた時間外労働及び休日労働の時間を含む。)を満勤した場合に得られると“想定される賃金額”(上記の時間外労働及び休日労働に対する手当を含み、臨時に支払われる賃金及び賞与を除く。)をいうそうです。

 要は、「1時間当たりの保障給」×「満勤日数」が1ヶ月当たりの“通常の賃金”という事になります。

 では、「1時間当たりの保証給」はどの様に計算すかが問題になります。それは、「1時間当たりの保障給」の実際の算定に当たっては、各人ごとに過去3ヵ月程度の期間において支払われた賃金の総額(すべての時間外労働及び休日労働に対する手当を含み、臨時に支払われた賃金及び賞与を除く。)を当該期間の総労働時間数で除して求める様です。

 言い換えれば、「過去3ヵ月の賃金総額」÷「過去3ヵ月の総労働時間」=「1時間当たりの保障給」になります。なので、歩合給の6割は上記数式で求めた「1時間当たりの保証給」×「満勤した時の時間」の6割です。「過去3ヵ月の賃金総額」は聞いた事が有る言葉で、厚生年金や社会保険の算定時に使われる言葉で、算定月は4月、5月、6月の3ヵ月になっています。

 3月、4月、5月の自分の場合で計算してみます。総労働日数は33日なので総労働時間は、33日×18時間=594時間になり、賃金総額は2,141,550円だったので、2,141,550円÷594時間=3,605円/時となり、「1時間当たりの保障給」は3,505円になります。

 よって、1時間当たりの「保障歩合給」は、3,605円×60%=2,163円という事になります。換言すれば、保証歩合給は2,163円と言う事になります。

 この「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準について」の通り計算すると、営収が「過去3ヵ月の賃金総額」の平均を下回っても会社は、「過去3ヵ月の賃金総額」の平均額を支払わなければならない事になります。自分の場合で言えば営収が12勤、216時間/月で60万円でも、2,163円×216時間=467,208円、歩率で言うと約77%になってしまいます。草

 良くした物で、これには「上記一の(二)のイの趣旨は歩合給制度を採用している場合には、労働者ごとに労働時間に応じ各人の通常賃金の六割以上の賃金が保障されるようにすることを意図したものであって、“六割以上の固定的給与を設けなければならないという趣旨ではないこと”。」と言う一文が記載されています。草

 逆に考えると、厚生年金や社会保険は算定月より営収が下がっても厚生年金や社会護憲の控除額は下がりません。苦草

 この歩合給6割は、厚生年金や社会保険と同じ計算のようで、営収の60%を保障する物では無い様です。

 しかし、6割と言う言葉が出ているので、会社には最低でも「営収の6割」は保証して欲しいものです。草

って言うか、どっかがガバっていつ様な気がして、我ながら草が生えます
nice!(2)  コメント(1) 

nice! 2

コメント 1

robiemon

初めまして、都内で会社員をしているrobiemonと申します。タクシー業界に興味があり、貴ブログを大変面白く拝見しております。

記事とは直接関係のない質問で恐縮ですが、最もタクシーの需要が高いであろう朝の通勤時間帯(7~8時台)にタクシーの供給台数が不足しているのはなぜでしょうか?

先日、出勤のためにタクシーを前日に予約しようとしたところ、どこも埋まっており、あえなく断念しました。(Japantaxiアプリはもちろん、東京無線や近辺の中小法人4社ほどに電話しました。また、住宅街のため流しのタクシーも拾いづらいです。)
これは非常にもったいないと感じました。

通勤需要を最大限に捉えることができれば、一定の稼働時間で十分な営収を得られるのではないかと考えます。
例えば、出勤時間帯の6~9時と帰宅時間帯の17~20時に稼働し、1乗車30分で営収3000円と仮定した場合、8時間で16乗車=営収48,000円になります。これは、予め各通勤客の送迎時刻とルートを、実車率が100%近くになるように「数珠繫がり」に組み合わせられると仮定しています(机上の空論ではありますが)。
しかし、そもそも通勤時間帯の稼働台数を増やせない構造的問題があるならば、上記は実現できません。(事業者に保有台数の制限がかかっていること以外に。)

稚拙な仮説ですが、例えば以下が考えられるかと:
・24時間体制でサービス提供するために複数の勤務時間帯を組む必要があり、通勤時間帯に全台数を投入できない
・稼働しようにも運転手さんが足りない。または、タクシー会社は運転手さんをフル稼働させるより、車両をフル稼働させることを優先し、隔日勤務制をとっている
・道路混雑により、時間あたりの売上効率がわるい

横浜と東京23区とでは事情は異なるかもしれませんが、もしご存知であればご教示頂けますと大変幸甚です。
突然のご連絡で恐縮ですが、よろしくお願い致します。


emailでご返信頂く場合は以下へお願い致します:
robiemon.note@gmail.com
by robiemon (2019-08-14 16:07) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント