SSブログ

タクシーと善管注意義務

 今回は「タクシーと善管注意義務」を書こうと思います。


  とりま、善管注意義務って何?だと思いますが、タクシー乗務員の方なら1度は経験している泥酔者の車内での「嘔吐」に関する事になります。


  マジ、車内で吐かれると「マジか~!(怒)」になります。自分は車内で吐かれた事は13年乗務していて2度有り少ない方だと思います。


  1度目は若いアンちゃん2人組が羽沢町迄乗車して1人が車にで嘔吐して、降車する時1人が「すみません、これクリー二ング代にして下さい、と言って乗車料金の他に1万円を置いていきました」。


  2度目は若いネーちゃんで上永谷迄乗せて、料金を支払い降車して後部座席下を見ると・・・・嘔吐されていました。運転中は全く気付かなかったので、「あの女、やりやがったな」で(笑)で、当然、クリーニング代の支払いなんて有りませんでした。


 善管注意義務.png


 車内で吐かれて1番困るのは、車内清掃とその後の営業が出来ない事です。車内で吐かれるとその臭いの臭い事と言ったら半端無い臭さで草が生えます。


  業界では、車内で吐かれたたらどうする問題は昔から有った様で、クリーニング代を貰う・貰わない、や貰うなら幾ら問題が有りました。(笑)


  結果、対応は乗務員まちまちで、請求する乗務員もいれば、5,000円、10,000円を請求する乗務員もいました。請求する乗務員は大方10,000円が多かったと思います。


  会社的には、会社の表案を気にしてか不請求でした。(笑)


  で、法的にはどうかと言うと、話が少し長くなりますが、乗客がタクシーに乗車して「乗務員に目的地を告げ、乗務員がこれを承諾」すれば、一般乗用の『旅客運送契約』が成立します。


   この契約が成立すると、乗務員と乗客の両方に、乗務員には、あるいはタクシー会社は、道路状況に基づき最善と思われるルートを選択の上、安全に乗者客を目的地まで運送する義務を負います。


 他方、乗者客は、善良なる管理者としての注意義務=善管注意義務に基づいて、車両=自分が座る座席に乗車するとともに、降車の際に既定の運賃を支払う義務を負うことになります。


 


なので、法的には、乗者客に旅客運送契約において、債務不履行=善管注意義務違反があったわけ、乗務員やタクシー会社は、これに基づく損害について、乗車客に賠償請求できることになります。


 なので、このように、タクシーで嘔吐した場合には、乗客は運転手やタクシー会社から賠償を求められても致し方ないということになります。


 その費用は、その費用はいくらになるのかと言うと、業者間によって違いはあると思いますが、嘔吐物などのクリーニング費用は、後部座席(23座席)に限ると、せいぜい1万円から3万円程度 といってよいかと言う弁護士もいる様です。


 要は、善管注意義務違反があった場合、乗客はそれにより生じた損害を賠償する必要がありますが、その賠償の範囲は、社会通念上生じる内容に限られます。


 又、その賠償にあたるのが「逸失利益」によるもので、「逸失利益」とは、「本来であれば得られるはずだった利益」が得られない場合にそれを損害として賠償請求の対象とする概念をいいます。


 なので、嘔吐したことによって、乗務員やタクシー会社が本来得られたであろう利益を損なったか否か、という観点から考えることになります。


 結果、そのタクシーが座席交換ないしクリーニングを終えるまで、他の乗客を乗せることはできないので、タクシーとしての営業ができなくなってしまうことは、社会通念上相当のことと言える様です。


 ですが、実際には、タクシー会社は、後部座席には撥水性のあるシートを設置しており、また、泥酔客への対応策としてエチケット袋なども用意しているのが通例で、後始末も乗務員自身で行てるのが通常なで、程度問題ではありますが、クリーニングを有償で業者に依頼している実態は殆どない様に感じます。


 タクシー専門の洗車では、嘔吐処理費用として3,000円位で処理をしてくれる洗車屋も有ります。


 長くなりましたが、車内嘔吐は法的に「善管注意義務違反」に当たるので、基本、乗車客に賠償請求を出来る事になりますが・・・・・乗務員の方から乗車客に賠償請求は言いだし難いです。


 そこは、車内を汚してしまった乗客の「誠意」任せになる様ですが・・・・泥酔客に誠意を求めるなんて(笑)です。


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:求人・転職