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カード手数料の乗務員負担返還請求訴訟・・・・棄却判決

今回は「カード手数料の乗務員負担返還請求訴訟・・・・棄却判決」を書こうと思います。

 タクシーを利用する方で、カードで支払いをした時、そのカード会社に支払うカード手数料の5%~8%を乗務員が支払っている会社が有る事を知っている人は、ごく少数の様な気がします。

 自分が勤務する会社も以前は会社と折半して乗務員が手数料を3%給引きされていました。同時に、東京などに行った時に発生する営業区域に戻る為の高速代金は、会社50%、乗務員50%の割合でした。

 しかし、給料の見直しが有り、累進歩合から積算歩合に変わった事をきっかけに、算累進→積算となったので、カード手数料と帰路高速代は会社負担になりました。逆に考えると、累進→積算となると相対的に歩率が下がり乗務員の給料も下がるので、組合からの突き上げも有りやも無く帰路高速とカード手手数料を会社負担にした経緯が有ります。要は、バーターです。草

 例えば、小売店でクレジットカード決済をした時に、その手数料が販売店員の給料から引かれるといったことは当然ありえません。ですがタクシー業界では、「運転者も諸設備やサービスの利用により営収増の恩
恵を受けているのだから一定の負担をすべき」という口実を設け、会社は負担を乗務員に押し付けています。但し、労使間の合意が有れば有効です。

 タクシー業界は、「受益者負担」あるいは「機器使用料」などの名目での賃金控除が蔓延している事は、国交省も理解している様です。、又、これら「受益者負担」「機器使用料」などを合計すると企業によって、運転者によって金額はまちまちで、6,000円~15,000円以上となり、月例賃金の3%ほどを占める額となっている様です。高速道路を利用した場合、行きはタクシー利用者が支払いますが、帰路については高速料金を運転者の自己負担しているケースが見受けられる事も国交省は理解している様なので、国土交通省は平成19年3月28日「一般タクシー事業における今般の運賃改定申請の審査等の取扱いについて」とする自動車交通局長通達「国自旅第325号(通称3.28通達)」を発出しました。認可にあたって、こうしたカード手数料や帰路高速代金の引き去りを廃止するよう求めていましたが、東京業界で約半数の企業が廃止または一部廃止と答えた反面、残り約半数の企業が「現在、検討中」として廃止に至っていませんでした。

 そんな中、「タクシー会社の乗務員負担」が東京業界で係争事案になっているそうです。カード手数料やGPS車の使用料を増無韻に負担させるのは違法だとして、3名の乗務員が金銭の返還を求め訴訟を起こしました。

 先月の8日に判決が有り、原告の請求は棄却されました。「棄却」は、内容を検討して理由がないとして退けられる場合で、同じ様な言葉で「却下」という物が有りますが、これは手続の不備などで不適当な訴訟として請求の中身を検討されることなく退けられる場合に使われます。なので今回の判決は、請求内容は内容は検討した事になります。

 判決は「歩合給は成果主義に基づく賃金。使用者の得た利益に応じて算定する為、乗客が支払う運賃・料金の総額から、被告の利益除した残額を月間収入とするのは合理性を有する。未払い賃金は存在せず、不当利得は生じていない」という物でした。

 GPS車とハイグレード車の乗務は1乗務ごとに300円を控除する形となっている。判決は車載機器使用料を毎月賃金からカット出来る旨の労使間の賃金控除協定書により「賃金全額払いの原則に反しない」としています。

 ハイグレード車に対しては、被告が原告と交わした契約書を所持していない事を理由に、契約を交わした証拠が無いとして、会社側に支払いを命じました。

 前述した様に、乗務員負担については国会の付帯決議や国交省の通達で改善が求められています。が、法的拘束力は残念ながら有りません。その為、乗務員負担は労使交渉で駆け引きに使われる事が多い様です。正に、自分が勤務している会社です。草

 過去には日交の乗務員が提訴して、最終的に和解になったそうです。提訴した乗務員は、カード手数料が会社の収入にはならない消費税と同等に扱われた事に納得出来ないそうです。

 いくら労使間の問題だと言っても、通達レベルです国交省が文書まで出して廃止事項とし問題としているのに・・・・裁判に掛かれば「棄却」で草が生えます。
 

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