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有償貨物運送(フードデリバリー)を行う道路運送法第78条の怪

 今回は「有償貨物運送(フードデリバリー)を行う道路運送法第78条の怪」を書こうと思います。

 第1波が収束に向けている武漢ウィルスですが、この間、タクシーによるフードデリバリーサービスが期間限定ながら許可されました。当初は5月13日までの予定でしたが、許可の期間には、令和2年9月30日(水曜日)まで延長する事になりました。

 このデリバリーを可能とする法律は、有償貨物運送を行う道有償貨物運送を行う道路運送法第78第3号に基づく許可を特例的に実施しているものの様です。

 では有償貨物運送を行う道路運送法第73条という物はどんな法律何でしょう?道路運送法第73条は、第五章の「自家用自動車の使用」に関する条文で、内容は、(有償運送)と有り、78条は「自家用自動車(事業用自動車以外の自動車をいう。以下同じ。)は、第七十八条 自家用自動車(事業用自動車以外の自動車をいう。以下同じ。)は、次に掲げる場合を除き、有償で運送の用に供してはならない。」と有ります。

 要は、自家用自動車の有償運送禁止規定です。全くタクシーの様な事業用自動車とは関係が無い条文という事になります。「次に掲げる場合を除き」の部分は3項目有り、1項は、災害のため緊急を要するとき。2項は、市町村(特別区を含む。以下この号において同じ。)、特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人その他国土交通省令で定める者が、次条の規定により一の市町村の区域内の住民の運送その他の国土交通省令で定める旅客の運送(以下「自家用有償旅客運送」という。)を行うとき。2項はNPO法人の事を指しています。

 問題の第3項は、「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき。」となっています。

 今回のフードデリバリーはこの3項を無理やり「特例」として施行して、フードデリバリーを可能としています。運輸局のホームページには「新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛要請に伴い旅客輸送需要が激減し、経営維持が困難な状況にあります。また、店内での営業の自粛が行われている飲食店などにおいては、飲食・食料等の配送に係るニーズが増加しているところです。こうした状況を踏まえ、原則として新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)に基づく今般の緊急事態宣言期間に調整期間を加えた期間、タクシー事業者の安全管理能力等も踏まえ、タクシー事業者が一定の条件の下において有償で貨物運送を行う道路運送法第78条第3号に基づく許可を特例的に認めることにしました。」と最もらしい事を記載していますが、道路運送法第78条は、第五章に有る様に「自家用自動車の使用」に関する条文で、換言すれば、普通乗用車の有償運送の禁止に関する事です。

 換言すれば、普通乗用車の有償輸送に関する78条の規定を、何故、事業用自動車であるタクシー車両に適用するかが分かりません。

 道路運送法の普通乗用車に関する規定を、何故今回適用する意味が自分には分かりません。言ってしまえば道路法78条の趣旨を逸脱している様な気がします。こんな事をする位なら100円玉の両替や電球交換がOKな「救援事業」に組み込んだ方がよっぽどましな様な気がするのは自分だけでしょうか?草

 特例的に認めるのなら、78条の筋から行けば、自家車に特例的に認めるべきではないでしょうか?自家用車の規定を特例的に事業用自動車に認めるとなると、法の趣旨を逸脱しています。極端に言ってしまえば、刑法の規定を民法に当て嵌める様な物の様な気がしますが・・・・草

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