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コロナ禍でタクシー利用率は28%増の謎

回は「コロナ禍でタクシー利用率は28%増の謎」を書こうと思います。

 前にタクシー広告の事を書きましたが、その時株式会社IRISのデジタルサイネージの「Tokyo Prime」の事を書きました。

 時株式会社IRISは旧JapanTaxi系の広告会社です。現在はJapanTaxi+DeNA=MOTの子会社になります。そんなIRISが9月14日~17日の4日間、月1回以上タクシーを利用する20歳以上の2,835人にインターネット調査を行いました。10都市の調査だった様です。

 結果、コロナウィルス禍での乗車実態を調べたところ、8割の人が再び利用している事が分かったそうです。 因みに、東京特別区の調査数は310人だった様です。

 質問は、直近1ヶ月のタクシーの利用頻度に関する事だった様です。要は、コロナ前に比べ利用頻度が「増えた」、「以前の水準に戻った」、「元に戻りつつある」、「減ったまま」の比率がそれぞれ、28%、29%、26%、17%だったそうです。東京特別区では「減ったまま」は僅か10%だった様です。これを素直に読めば、「タクシーはもう大丈夫なんじゃネ」となってしまいます。

 直近1ヶ月で利用頻度が「増えた」+「以前の水準に戻った」+「元に戻りつつある=83%なんですからそう思うのは理解出来ます。因み東京都区部は90%まで再び利用し始めている事になります。

  しかし、9月は全国的に対前年比では36%、都区内では27%の減収になっています。減収になるのには、乗車回数の減少、乗車単価の減少、又はその両方しか考えられません。乗車回数で見ると東京都区内では前年同月比でマイナス6.8回になります。

 利用頻度と乗車回数は相関の関係にある様なきがします。要は、利用頻度が増えれば乗車回数も増えるという事です、が、乗車回数は逆に減っています。IRISの社長は「・・・広告の売上でタクシー会社を下支えできていない。“乗客数”、“広告表示回数”とも戻ってきており、調査結果を配信したい」と述べています。今年の1月に比べ9月は全体で90%、平日に限れば95%まで回復しているそうです。

 最初に書いたインターネットを利用した調査とは、ネットリサーチという仕組みで、まずアンケートに協力してもらうモニターを集め、プロフィールを登録してもらいます。そして各アンケートのターゲットに該当するモニターに回答を依頼し、回答者にはポイントを付与します。そのポイントは現金などに換えることができるという仕組みの様です。
 一般的に、ネットリサーチは、調査対象者(回答者)にインターネットを通して「アンケートサイト」にアクセスしてもらい、Web上で回答してもらう調査手法です。

2019年については8月1日から8月10日までの間、乗務員及び都内主要タクシー乗り場において利用者へ合計10,000枚を直接配布したアンケートが有ります。それによると月1回から3回が56.4%、4回~10回が27.2%、それ以上が14.5%、無回答が1.9%だった様です。

リサーチにおいては、“回答者の心理的要因によって、調査対象者の回答に偏り(かたより)を生じさせてしまうこと。またはその偏りの原因となる要素”の有る質問を「バイアス」が掛かっていると言いいます。

要は、質問の仕方により回答者の心理的な問題を引き起こさせ、本来出るべき結果と異なる答えやデータがアウトプットされてしまう事を指します。

 例えば、「あなたは英会話教室の受講についてどの程度興味がありますか?」と聞けばよい質問を、「近頃、多数の企業が英語のスキルを重視していますが、あなたは英会話教室の受講についてどの程度興味がありますか?」と聞く様な事です。“近頃、多数の企業が英語のスキルを重視していますが”の部分がバイアスになり、質問自体が回答を誘導してしまっている典型的な事例が「誘導バイアス」というものです。

IRISのネット調査にバイアスがかかった質問だったかどうかは分かりませんが、これほど業界の印象や数字とかけ離れた「コロナウィルス禍での乗車実態を調べたところ、8割の人が再び利用している」となるのでしょうか?

今年の1月は東京特別区・武三地区の営収は48,906円で乗車回数は28.4回でした。東京都区内で90%回復とすると営収は44,015円、乗車回数は25.5回になります。

結果、9月は営収36,101円、乗車回数21.8回でした。とてもとても90%回復とは程遠い数字です。

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