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業界で使われる通常の賃金って何?

今回は「業界で使われる通常の賃金って何?」を書こうと思います。

 通常賃金という言葉は、労基法37条の「時間外、休日及び深夜の割増賃金」の条文にっ出てきます。要は、残業手当と深夜手当は「通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」とされています。要は、「通常の労働時間又は労働日の賃金」の事を通常の賃金と定めています。

 又、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準について」の所謂93号通達では、二の留意事項の(二)の賃金制度等に関する留意事項のイの保障給については、「上記一の(二)のイの趣旨は歩合給制度を採用している場合には、労働者ごとに労働時間に応じ各人の通常賃金の六割以上の賃金が保障されるようにすることを意図したものであって、六割以上の固定的給与を設けなければならないという趣旨ではないこと。」とされているので、特措法では、歩合給の乗務員の給料は通常の賃金の60%を保証しなければならない事になります。

 同項には、「「通常の賃金」とは、原則として、労働者が各人の標準的能率で歩合給の算定期間における通常の労働時間(勤務割に組み込まれた時間外労働及び休日労働の時間を含む。)を満勤した場合に得られると想定される賃金額(上記の時間外労働及び休日労働に対する手当を含み、臨時に支払われる賃金及び賞与を除く。)をいい、「一時間当たりの保障給」の下限は次の算式により算定すること。と定められています。なので、通常賃金は、通常の労働時間を満勤した時に支払われる賃金という事になり、何だか「ぼやーっとした通常賃金です」。この方法で計算すると通常賃金は個々に違っています。

 このぼやーっとした部分は、「 「一時間当たりの保障給」の実際の算定に当たっては、特段の事情のない限り、各人ごとに過去三箇月程度の期間において支払われた賃金の総額(すべての時間外労働及び休日労働に対する手当を含み、臨時に支払われた賃金及び賞与を除く。)を当該期間の総労働時間数で除して得た金額の一〇〇分の六〇以上の金額をもって充てることとして差し支えなく」とされています。
要は、一時間当たりの賃金=(過去三箇月程度の期間において支払われた賃金の総額÷当該期間の総労働時間数)×60%という式で計算されます。

又、「毎年一回等定期的にあらかじめ定めておく場合」には、特段の事情のない限り、当該企業の
歩合給制労働者に対し過去三箇月程度の期間に支払われた賃金の総額(すべての時間外労働及び休日労働に対する手当を含み、臨時に支払われた賃金及び賞与を除く。)を当該期間の延総労働時間数で除して得た金額の一〇〇分の六〇以上の金額をもって保障給として差し支えないこと。」となっています。

 計算式は(その企業の3ヶ月程度に支払われた総賃金額÷給料算定者全員の延べ労働時間)×60%とでも良い事になっています。

 コロナの雇用調整助成金の算定には、後者の(その企業の3ヶ月程度に支払われた総賃金額÷給料算定者全員の延べ労働時間)×60%で算出された金額が採用されています。

 具体的記載すると、雇用調整助成金の助成額算定書には、平均賃金額=前年度1年間の雇用保険の保険料の算定基礎となる賃金総額(円)÷(前年度1年間の1箇月の平均雇用保険被保険者数(人)×前年度の年間所定労働日数(日))になっているので、個々に計算しているのではなく、事業者全体の平均賃金額を日額で計算しています。

 なので、おそらくですが、平均賃金額は事業所全体で計算した金額が使われていると思います。なので、営収100万円の乗務員も営収30万円の乗務員も、「毎年一回等定期的にあらかじめ定めておく場合」で計算すると通常の賃金は同じです。

 不公平感満載ですが、雇う方は計算が楽です。が、何れにしても93号通達では歩合給制度が採用されている場合、固定給が有る場合は固定的給与と併せて通常の賃金の6割以上、無い場合は歩合給だけで60%を支払わなければいけない事になっています。要は、最低歩率60%が93号通達で定められています。(>_<)

 ですが、どの位の事業者がこの60%ルールを遵守しているかは?で草が生えます。

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