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Km裁判、最高裁『「実質残業代ゼロ」は違法判断

 今回は「Km裁判、最高裁『「実質残業代ゼロ」は違法判断』を書こうと思います。

 前にKmの残業代未支給」の事を書いた記憶が有ります。雑に纏めると、Km側は名目上残業代を支払っていましたが、あくまでそれは残業時間×25%に当たる金額を給料明細に記載しているだけで、同額を控除していました。残業代の支払いについて定めた労働基準法37条の規定では、歩合給の残業代時間給=時間給×残業時間×歩合給の割増率(25%)となっています。時間給は『歩合給の全額÷総労働時間』で計算します。

 仮に時間給1,000円で25時間残業をすると、1,000円×25時間×25%=6,250円が残業代になりますが、Kmは名目上残業代を給料明細に記載していましたが同額を給料から控除していました。詳細は省きますが、1審の地裁では原告勝訴、2審の高裁では被告が逆転勝訴しました。当然、原告が最高裁に上告しました。

 Km側の言い分は分からない訳でも有りません。要は、労使で歩率50%と決めていれば営収20万円なら給料は10万円になります。ところが上記計算式を使って残業代が6,250円発生すれば給料は106,250円となり、この例では106,250円÷200,000円≒53.1%になってしまいます。要は、会社側の言い分は、乗務員を全て監視出来ないので、外で寝ているかもしれない可能性も有るので、それらの事を含め残業代は名目上支払った事にして同額を控除して歩率50%に調整したと思います。因みに、殆どの会社がKmと同じ様な計算をしていると思います。でなければ、月により残業時間が違うのに規定歩率に収まるまずが有りません。

 話がずれずれになりましたが、結果、Km裁判は乗務員側が敗訴した高裁判決が破棄され、未払い残業代の金額を算定するため、審理が東京高裁に差し戻されました。乗務員の代理人らは「労働者側の完全勝訴」と評価している様です。

 高裁判決では、法令違反などがない限り、賃金をどのように定めるかは自由としたうえで、名目上は法定の金額を下回らない残業代が出ていることなどから、制度を合法としていました。

 最高裁判決では、手当の名称や算定方法だけでなく、労働者に対する労基法37条の趣旨を踏まえ、賃金体系全体における位置付けなどにも留意すべきとしました。そのうえで、歩合給から残業代相当額を引く仕組みは、元来は歩合給として支払うことが予定されている賃金を名目のみを残業代に置き換えて支払うものだと指摘しています。

 又、労基法37条では残業代計算のベースとなる「通常の労働時間の賃金」と「割増賃金『残業代』」を判別できることが求められていますが、残業代の中に歩合給(通常の労働時間の賃金)が相当程度含まれていることになるため、判別ができないとして、残業代が払われたことにはならないと判断しました。

 結果、今後、歩合給からは残業代は引けないという前提で、高裁で未払いになっている金額を審理することになる様です。

 Kmはやり方が露骨過ぎた様に思います。もっと考えてやっていれば・・・・前記しましたが、殆どの事業者は「控除」なんて給料明細に記載していませんが、やっている事はKmと同じです。でなければ、毎月残業時間が違うのに歩率が毎月一定になる訳が有りません。苦草

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