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東京運賃書改定とスライド賃下げ

 今回は「東京運賃書改定とスライド賃下げ」を書こうと思います。


  何回か東京のタクシーの値上げの事を書いてきました。前に書いた様に乗務員の給料アップ率は、総アップ率の14.24%に通達で歩率60%以上が有るので、14.24%×60%=8.544%になりほゞほゞ8%になります。


  とりま、運賃改定は「原価計算対象業者」の選定から始まり、決して申請業者全員を査定対象に行うるものでは無く、今回は査定事業者数は30社でした。


  原価計算対象事業者が決まると、 輸送力の算定と平年度収支の算定に分かれて計算されます。例えば輸送力の算定に「実車走行キロ」という物が有り、実車走行キロ=過去5年の実績を基に推計され、これは平年度収支の算定の「運送収入」に結び付きます。


  平年度収支の算定の人件費は、輸送力の算定に「実働車両数伸び率が支給人員に影響」するという理由でリンクしていて、人件費は、平均給与月額×支給延人員となり、平均給与月額=実績年度平均給与月額で査定されます。


  この様に事細かく計算され合算され計算された物が「新運賃」になります。


  例えば今回の値上げで値上げ前の日車営収が月平均55,000円の乗務員は今回の値上げで、計算上55,000×114.24%=62,810円の営収となるので、歩率を60%とすると、55,000円×60%=33,000/日が62,810円×60%=37,686円になるので、給料は33,000/日÷62,810/日=1.142倍となるので、給料は14.2%アップとなり、8%を大きく超えていて、運賃アップ率そのまま給料に反映されます。


  当然会社も40%分の営収増の恩恵受けているのですが、タクシー業界は会社の規模、給料システム、歩率、賞与規定など、会社毎にとなるので、一概に給料8%アップとは行かない事も有るので・・・・


  業界には「スライド賃下げ」と言う言葉有り、これは運賃改定時に足切り額を引き上げたり歩合率を引き下げたりして、運賃改定による増収分が労働者に渡らないようにし、増収分を会社が独り占めしてしまう事を言い、労働条件改善のためといって運賃改定を申請し、認められたら労働者に回る分を自分の懐に入れてしまうのですから、ひどい労働者への裏切り行為、利用者・国民への公約違反です、と自交総連は言っています。


  スライド賃下げの計算式というのがあって、オール歩合の場合は、新運賃=旧賃率×1÷1+運賃改定率で計算され、仮に足切り金額に引っかかっていそうな月の営収が40万円の場合、運賃改定率が14.24%だった場合で足切歩合が45%だとした時、改定前は40万円×45%=18万円が月給になりますが、改定率が14.24%に場合営収は40万円×14.24%=456,960円になり、給料は456,924円×45%=205,632円になります。


  スライド賃下げの場合は歩率が45%×(1÷10.1424)≓40%になるので、月の給料は456,960円×40%=182,769円となり、改定前と変わらなくなります。


  これがスライド賃下げ・・・・です。


   スライド賃下げには、上記に挙げた物の他、賃率変更だけでなく、足切の引き上げ、営収の読み替え、手当類の引下げ、それらの組み合わせなど様々な方法が有る様ですが、要は現行の賃金計算方式を一切変更させないことが重要の様です。


  タクシー会社の給料体系は会社ごとに色々あり、深夜給、割増時間給等々が組み合わされているので非常に複雑です、換言すれば・・・・・いくらでもあの手この手を使って歩率を調整出来る事になるので、前に書いたkmの裁判が良い例です。


  東京の乗務員の皆さん、要らぬお世話かも知れませんが、給料明細はしっかり確認して下さいネ。歩率を下げる会社も有る様な事を聞いたもので。



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