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洛東タクシー訴訟と歩合

 今回は「洛東タクシー訴訟と歩合」を書こうと思います。


  タクシーの業界では、歩合給の賃金形態が広く普及しています。歩合給というのは、典型的に「運行収入×歩率X%=賃金とする」という、出来高に賃率をかける賃金体系で、A賃、AB賃、オール歩合、などが有ります。


 実際には、最低賃金レベルの「基本給」≠「固定給」を設定した上、自分の勤務する会社は、基本給を歩合給計算から除外して、「営業運行収入のうち基本給を超えた部分のX%を賃金とする」などとしています。


  ですが、中には例えば「「運行収入のうち35万円を超えた部分のX%を賃金とする」などとする会社も有る様です。要は「足切り」です。


  一見自分の勤務する会社には「足切り」がない様に感じますが、実際は‥‥有ります。要は、営収が45万円以下だと歩率が極端に低く設定されています。45万円以下だと歩率は40%台、45万円を超えると50%になります。


 なので、上記の例の様に「35万円を超えた部分のX%を賃金とする」ではなく、「45万円以下では〇〇%にする」となるので・・・・「足切り」と同じです。草


  なので、運行収入が多くなるほど、その賃金区間の賃率が上がる「積算歩合給制」又は「塁審歩合」が採られる会社がほとんどです。


 歩合による賃金制度は、営収高を上げるために長時間労働に陥りやすく、運賃の値下げにより売り上げが下がると乗務員の賃金額の減少に直結します。タクシーの値下げ競争はタクシー乗務員の生活を長年脅かし続けてきました。又、運賃の値上げがされた場合でも、使用者側が賃率を下げる圧力をかけるため、乗務員の取り分が容易に上がらないことも、歴史的に繰り返し指摘され続けてきました。(>_<)


 今回の事件の様に、歩合給に残業代を含めてしまい、時間外労働の時間に応じた金額の残業代を支払わないのも、タクシー業界で蔓延している慣行です。なので、これでは長時間労働に歯止めがかかるわけがありません。それらの多くは違法であり、裁判所でも繰り返し問題を提起されてきました。


 なので、タクシー業界では、長時間労働と低賃金が蔓延していて、乗務員のなり手が見当たらない状況なので、タクシー乗務員には年金の不足を補うために働く高齢者が多く在籍せているので、タクシー事業者は許可を受けながら、全ての台数を運用できていない「稼働率不足」の事業者が多い様です。


  今回の判決の骨子は、①「基準外手当」が時間外労働の対価との記載は雇用契約書などにない、②「基準外手当」は売り上げに応じて算出されているので「時間外手当の残業給」と「深夜割増給」には当たらい、事の様です。・・・・当然っちゃ当然全ですがネ。草


  労働組合は何をやってたんいたんでしょう?労基法では「法定労働時間を超えて労働者に時間外労働(残業)をさせる場合には、1:労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)の締結、2:所轄労働基準監督署長への届出、が義務付けれれている事は当然知っていたはずですが・・・・?


  何回も記載していますが、労働基準法上、1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えて労働した場合(時間外労働)には、通常の賃金の25%以上の割増賃金(時間外手当)が発生し、午後10時から翌日午前5時までの間に労働した場合(深夜労働)は、25%以上の割増賃金(深夜手当)が発生します。


  「時間外、休日及び深夜の割増賃金」は労働基準法37条に25%増しと記載されています。少なくとも、事業者も労働組合が有ったら労働組合も、「知らなかったワ~」では済まされません。(>_<)


  この裁判では、会社側は「基準外手当」に時間外労働などの賃金が含まれていると主張していたそうですが・・・・計算すればわかる事なのになんで「含んでいる」と主張したか首を傾げたくなります。(@_@)



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