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深夜割増給&残業手当&保証給と歩率

 今回は「深夜割増給&残業手当&保証給と歩率」を書こうと思います。

 タクシー事業者で固定給を出している所は無いと思いますが、話の流れで先ず保証給の事を書きます。タクシー乗務員の保障給については、「93号通達」の中で次のように述べられています。「歩合給制度が採用されている場合には、労働時間に応じ、固定的給与と併せて通常の賃金の6割以上の賃金が保障されるよう保障給を定めるものとすること」とされています。これは最低保証給に関する事で、これは厚労省が定める「最低賃金法」に基づく最低賃金制度ともリンクしています。

 又、労働基準法第27条の(出来高払制の保障給)には「出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。」とも有ります。此処で言う「一定額の賃金」は「各労働者が過去3ヶ月程度の期間に支払われた賃金を時間換算したものの6割以上の額とすること」とされています。

 誤解されがちなのが、歩合給制や出来高給制であっても、法定時間外労働や、深夜労働(夜10時~翌朝5時)をした場合は、労働基準法37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)に基づき、雇用者は割増賃金を支払わなければなりません。

 フルコミ・完全歩合制を取っている事業者も例外では有りません。給料明細を見ると、公には歩率60%とし、体よく給料明細には「割増時間給」や「深夜割増給」とうたっている会社も見受けたれる様です。・・・結果。歩率給+時間割増給+深夜割増給でも歩率60%になっている様です。

 例を出してみます。1乗務18時間勤務で12勤で営収55万円と仮定してみます、そうすると勤務時間は18時間×12出番=216時間が勤務時間です。法定勤務時間は宗40時間何で月の勤務時間は160時間になり、56時間が法定時間外労働になるので時間外労働給が発生します。又、夜の勤務をPM10時~AM3時迄乗務したとすると、5時間が深夜労働になるので深夜労働給が発生します。割増賃金率は両方とも25%になります。単に営収に歩率を乗じるのなら歩合給は55万円×60%=33万円として支給されていますが、本来は、(550,000円×60%)では無く、550,000円÷216時間≒2,546円が時間給になるので、A:550,000円×60%+B:2,546円×0.25×56時間(時間外労働時間)+2,546円×5時間(深夜労務時間)×12勤×0.25=330,000円+35,644円+38,190円≒403,834円になります。そうすると、総歩率は約73%になってしまいます。Aは基本歩率金額でB以下は割増金額になります。

 が、こんな計算をしている会社は有りません。殆どの事業者は、歩率60%の330,000円の中に。それらしく、時間外手当〇〇円、深夜手当〇〇円と記載してトータル60%としている様です。前記事例では、歩合給256,166円、時間外労務手当35,644円、深夜労務手当38,190円としています。これで・・・合計金額が歩率60%になります。

 換言すれば、時間外労務手当や深夜労務手当が実質計算されていない事になります。又、休日出勤は、通常の賃金の35%以上の割増賃金(休日手当)が支払われる事になっています。

 纏めると、完全歩合制のタクシー運転手の場合は、実際には、時間外労働、休日労働、深夜労働を行ったとしても、「完全歩合」の名の下に、時間外手当等の割増賃金が支払われていないことが多い様です。苦草

 AB賃も完全歩合制の亜種に過ぎないので、完全歩合制だけの問題では無い様です。

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