SSブログ

タクシー乗務員の有給

 今回はタクシー乗務員の有給を書こうと思います。

 ご存知の通り有休は、「受け取る給料の額を減らされること無く仕事を休むことが出来る」制度です。これは会社が与える物では無く、労働基準法に定められた労働者の権利です。

 有給休暇は仕事を始めて6ヵ月が経った時点ではじめて発生し、何日休めるかという日数は労働時間の長さによって変わってきます。

 注意しなければいけないのは、有給休暇には有効期限があるので、入社から半年経った時点で発生した有給休暇は発生から2年後に消滅してしまいます。

 入社して半年で10日の有休が付きます。例えば入社してから2年間に5日しか有給を使わなかった場合は残りの5日の有給は消えてしまいます。

 又、有給休暇の日数は勤続年数に伴って増えていきます。勤続期間が6カ月で10日、1年半で11日、2年半で12日、3年半で、14日、4年半で16日、5年半で18日、6年半で20日と、1年間でMAX20日迄増えます

 依って、どんなに長く1つの会社に勤めても1年間に発生する有給休暇の日数は最大20日なので、1度にキープできる有給の最大日数は40日ということになります。

 労働基準法では、労働者が有給休暇を取得した日に支払う給料を、3つパターンから選択するよう定めています。

①有給休暇を取らなかったと仮定して、ごくごく普通に給料を支払うという形態、②過去3ヶ月間の「働いた日」に対して支払われた給料の平均賃金を支払う形態、③健康保険によって、普段受け取っている給料を基準に段階的に定められた「標準報酬月額」から日割りで計算してその金額を支払う形態の3パターンです。

 ③は標準報酬は金額に上限があるなど労働者にとって不利になる場合もあるので、この支払い方法を採用するには会社と労働者の間で話し合って労使協定を結んでおかなくてはならない様です。

 おそらくタクシー会社で1番簡単な方法は③では無いでしょうか。自分が今勤めている会社も③です。

 自分が今勤めている会社は、有給を使うと基本給が有給を使った日数分カットされます。言い換えると、2日有休を使うと基本給が2/12カットされます。

 労働基準法附則136条に「使用者は、第三十九条第一項から第四項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。」と定められています。一見すると基本給の2/12カットは運転手に不利益な取り扱いの様です。

 タクシー会社の社員のような勤務形態であれば、減額することは可能との判例が有るので、基本給の2/12カットは違法ではない事になります。

 判旨では①タクシー会社という特性上、専ら営業収入によって利益を上げている。②減額は、代替乗務員の確保が困難であり、仮に確保できたとしても、当該代替乗務員の乗務が予定されていた別の出番が休車になってしまうという事情から、車両の効率的な運行確保のために、乗務員の出番の完全乗務を奨励する目的で減額が行われているものである。

 と述べています。私見ですが①はタクシー運転手時は専ら営業収入によって利益を上げているからカットしてもOKと読み取れ、②については、「車両の効率的な運行確保のために、乗務員の出番の完全乗務を奨励する目的」で行われるのであれば、前記労働基準法附則136条に抵触しても良いと読み取れます。

 判旨の最後に、「乗務員の出番の完全乗務を奨励する目的で、本件減額が行われているものであり、乗務員の年休権行使を一般的に抑制しようとする趣旨・目的があるとは認められない。」と有りますが・・・一般的に抑制しようとしています。

「乗務員の出番の完全乗務を奨励する目的」は言い換えれば、「完全乗務をしないと基本給をカットするぞ」とも読めます。

「車両の効率的な運行確保」は、乗務員ではなく会社の目的の様な気がしますが・・・

nice!(1)  コメント(1) 
共通テーマ:求人・転職

nice! 1

コメント 1

mogu

とても参考になります。
by mogu (2018-03-12 03:41) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント