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宮城交通事件・有給取得時の控除の判例

 今回は「宮城交通事件・有給取得時の控除の判例」を書こうと思います。

 以前、有給をした時に控除され事は“合法”ではないか?と書いた記憶が有ります。

 それは通称「宮城交通事件」と言われるものです。

 事件の概要は、会社の賃金控除規定が公序良俗に反して違法無効であるとして会社に対して、控除された賃金等の支払いを求めたものです。

 この会社の賃金規定は、先ず基本給として、①月間所定営収が42万円以上の者には月額13万5,000円を支給、②月間所定運営収29万2,000円以上の者には月額8万800円を支給、③月間所定営収29万2,000円未満の者には基本給を支給しないとなっています。

 歩合給は、月間所定営収が42万円以上の者には、(月間所定運収-42万円)×61%、月間所定営収が29万2,000円以上、42万円未満の者には、(月間所定営収-29万2,000円)×61%、となっていました。

 最低賃金は最低保障給として「過去3ヵ月の歩合合計÷過去3ヵ月の総労働時間数×60%×当月労働時間単価」を支給するとされていて、接客手当として1,000円、出番手当として600円、無事故手当として2,000円が1乗務ごとに支給されていた様です。

 同社の基本勤務体系は、1乗務14時間15分、1ヶ月の乗務日数は12乗務が原則で、乗務の都合により特定の日に14時間15分、特定の週に40時間を超えて勤務させることがあった様です。

 問題になった「賃金控除」は、「欠勤控除」と「有給取得控除」があり、「控除額」は、基本給÷月間所定勤務日数×(欠勤日数+有給取得日数)で計算された様です。

 この裁判は2名が提訴し、本件賃金控除が労基法136条の趣旨に違反し公序良俗に反するものである等と主張していました。

 欠勤で控除されるのなら分からないでもありませんが、有給を取った為に「有給取得控除」は・・・有休の意味ねージャン。草

 判決の判旨は、給与体系と控除に分かれて示されています。「給与体系」では、“基本給の額を月間所定営収額に応じて2段階にすることは基本給としての性格に矛盾するものではなく、必ずしも不合理とはいえない。さらにその基準をみても、月間所定運収42万円という額が不当に高額ではない。月間所定運収入が29万2,000円未満の者に基本給を支給しない制度であるからといって、当該制度全体が歩合給制度であることになるわけでもない”としています。

 「労基法136条」については、“使用者の努力義務を定めたものであり、労働者の有給休暇の取得を理由とする不利益取扱いの私法上の効果を否定するまでの効力を有するとは解されず、前記のような措置の効力については、「沼津交通事件」を踏襲しています。

 結果的に原告「敗訴」です。

 タクシーに関する裁判は、この他にも「錦タクシー事件」、「練馬交通事件」、「大国自動車交通事件」などがある様です。

 本件についてみると、有給取得した為の「有給取得控除」は、タクシー乗務員の有給休暇を取得する権利の行使を抑制していなく、又、労基法が労働者に有給休暇取得の権利を保障した趣旨を実質的に失わせるとまで認められず、その為、有給取得控除が公序良俗に反するものとして違法無効であるということは出来ないという事の様です。・・・残念。草

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