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危険運転致死傷罪

 今回は「危険運転致死傷罪」を書こうと思います。

 年が変わったので一昨年の6月になりますが、神奈川県の東名高速道路で、あおり運転の末に別の車による追突事故を引き起こして家族4人を死傷させた事件が有った事を覚えている方も多いと思います。世間では「東名高速あおり運転事件」と呼ばれている事件です。

 詳細はご存知の方も多いので省きますが、その判決が出た事をご存知の方も多いと思います。横浜地裁の裁判長は、停車行為そのものは「危険運転」と認定せず、被告の「運転中の妨害行為」が4人死傷に因果関係が認められるとして、「危険運転致死傷罪」の成立を認め、懲役18年(求刑懲役23年)を言い渡しました。

 判決は、被告のあおり運転と夫婦の死亡に因果関係があると認定して同罪を適用しましましたが、一方で、高速道路上に停止させた速度ゼロの状態が同罪の構成要件である「重大な危険を生じさせる速度」とするのは、解釈上無理があるとも指摘しました。

 危険運転致死罪は「走行中」の行為を対象としているので、停車中の事故を想定していない以上、妥当な指摘では無いでしょうか。

 この事件をめぐっては、危険運転致死傷罪が停車後の事故にも適用されるのかが最大の争点でしたが、裁判長は上記の通り停車行為そのものは「危険運転」と認定せず、「運転中の妨害行為」が4人死傷に因果関係が認められるとして、求刑懲役23年、判決懲役18年を言い渡しました。

 当初神奈川県警は、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑などで被告を逮捕しましたが、被告が執拗に車の進路を妨害した行為が危険運転行為に該当し、停止後に起こった事故との因果関係が認められるとして、より罰則の重い同法違反の危険運転致死傷罪で起訴しました。弁護側は危険運転致死傷罪が運転中の行為に対する処罰を前提としているとして「停車後の事故には適用できない」と主張、「危険運転致死傷罪は成立しない」と訴えていました。

 同罪が前記した様に「走行中」を対象にしているので弁護側の主張は一見妥当な指摘な様ですが、それは条文の不備であり、被告の悪質な運転を何ら正当化するものではないと思います。高速道路上で強制的に停車させる行為が「危険な運転」のはずです。

 危険運転の罪は平成11年に東名高速道路で飲酒運転のトラックに追突された乗用車が炎上し、女児2人が焼死した事故をきっかけに新設されました。

 当初は立証のハードルが高く、条文が想定しない悪質運転による事故が頻発し、適用条件を拡大する法改正を重ねてきましたがまだ足りなかったということです。

 「川ストーカー殺人事件」をご記憶の方もいると思いますが、この事件の発生が契機となり、2000年に「ストーカー規制法」が制定されましたが、電子メールの普及を想定していなかったため、メールによるつきまとい行為に警察が対応できず、「逗子ストーカー殺人事件」が起きてしまいました。

 事件が起きなければ変わらない現在の法整備には、大きな不満が残る所です。今の法整備は・・・泥縄です。

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