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会社の求める理想の運転手

 今回は「会社の求める理想の運転手」を書こうと思います。

 おそらく殆どの人は、タクシー会社は売り上げをきちんと立てて来る運転手、換言すれば営収の良い運転手をタクシー会社は求めていると思っていると思います。

 果たしてどうでしょうか?計算してみました。人件費(運転手+管理職+事務員)の占める原価割合は約72%位です。又、タクシーの地域別最低賃金は神奈川の場合平成29年度は956円と定められています。

 給料明細に基本給と有るのは、この時給に月の基本稼動時間を乗じた金額になります。仮に1出14時間拘束で12日勤務を標準と考えると、基本給は14時間×12日出番×956円となります。

 金額は160,608円になります。14時間は短いと思うでしょうが、1日7時間労働です。この時間以下の勤務の場合はケツ割扱いになる会社もある様です。給料は1出番13,384円です。

 この最低保証給は厚労省が定めているので絶対遵守事項です。という事はこの金額を支払う事が出来る事が会社存続の絶対条件です。

 逆算してみます。人件費は72%で13,384円という事は、総原価は13,384円÷72%≒18,600円になり、タクシーの原価は1日約2万円です。

 換言すれば、1台に付き1日2万円以上の営収が有れば、会社に余程多大な負債が無い限り・・・大黒字という計算になります。

 営収が足切りぎりぎりの35,000円の乗務員と6万円の乗務員を比べてみました。歩率は足切り以下46%、6万円の乗務員は60%としました。35,000円の乗務員の場合は35,000円×46%÷72%≒22,300円となり、35,000円ー22,300円≒12,700円が会社の利益になります。

  同様に6万円の乗務員の場合は、60,000円×60%=36,000円となって、36,000円+16,800円(60,000×28%)=52,800円が原価になり、会社の利益は60,000円-52,800円=7,200円という事になります。

 50台車が有る会社で稼働率75%であれば、平均営収が35,000円とすると上記より12,700円/台×50台×75%×30日≒1,430万円が会社の利益になります。稼働率が10%アップして85%になれば同様に、利益は約1,620円となり、稼働率が10%アップしただけで利益は約200万円増えます。


 これらの計算は非常に極端な計算例で、個人の営収が上がってもそれに伴い諸費用は比例的に増加しない事を考えれば、利益はもう少し増える様な気がしますが、それでも会社の損益分岐点は上記の例では2万円になります。

 言い換えれば、営収の多い乗務員程歩合給が多くなるので、会社は足切りギリギリ位でも
会社は1台に付き35,000円-22,300円=12,700円の利益が出ます。

 1日2万円/台以上の営収が有れば会社は黒字になる計算です。なのでタクシー会社は稼働率を気にします。車を遊ばしておくより、素人の様な乗務員でも乗せた方が絶対的に良いのは数字を見ても明らかです。1日2万円の営収でチャラですが運転手は食っていけません。

 その為、空き車を出さない為にタクシー業界は運転手を常に募集しています。

 よってタクシー会社が求めているのは、営収の良くて気を遣う運転手より、足切りギリギリで煩い事を言わない運転手の様な気がします。

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