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トヨタとウーバーの提携

 今回はトヨタとウーバーの提携を書こうと思います。

 古い話ですがトヨタとウーバーが提携発表をしたのは約1年半前に遡ります。当面はウーバーの車両需要に対して、トヨタが特別なリース契約で車両を提供する提携になる模様ですが、今後の中長期的な研究開発に関する提携も示唆されています。

 従来、ライドシェア業者と完成車メーカーの利害は相反すると考えられていました。ライドシェアサービスが普及すれば、クルマは買うものではなく、呼んで利用するものに変わってしまい、クルマを購入する消費者は減ると考えられていました。

 この事に基づくと、トヨタはクルマ需要の減少を招く「敵」と手を組むという戦略、言い方を変えると不合理な戦略に見えると思います。

 自分は近い将来少なくとも都市部では車は無人タクシーになるのではないかと考えます。その理由は、無人タクシーは、スマートフォンなどで呼び出せば自宅まで来てくれるので、自家用車と同様にドア・ツー・ドアの移動が可能です。出先で駐車場を探す事も無く、出先でアルコールを嗜むのも自由で、自分で運転したい時はそうゆう車を呼び出せば良いだけです。

 又、利用コストも自家用車に比べて大きく下がるのではないでしょうか。現在のタクシーは料金収入の約3/4を人件費が占めており、この部分だけを考えても、無人タクシーの利用料金は有人タクシーの1/4にできる可能性があると思います。

 既に無人タクシーの実現を待たずに、ウーバーが提供するライドシェアサービスは、無人タクシーに近い利便性を提供しています。スマートフォンで近くにいる好みの車種や評判のいいドライバーを選んで呼び出し、タクシーよりも低い料金で利用できるからです。自動運転の無人タクシーが実現すれば料金はもっと下がると思います。

 すでにGMはトヨタに先立って2016年1月にライドシェアサービス会社のリフトに5億ドルを出資すると表明し、VWもイスラエルのライドシェアサービス会社であるゲットに3億ドルを出資すると発表しました。

 GMやVWの提携は、ライドシェアサービス会社に対して巨額の出資をして、将来のライドシェアサービスへの本格的な進出に備えようとするものではないでしょうか。傘下のライドシェアサービス会社を支援して、ウーバーに対抗できる勢力に成長させ様としているのではないでしょうか。

 この概念はトヨタのビジネスモデルとはまったく相反するものです。ドライバーズカーという概念で、運転して楽しい車、運転しやすい車、所有することに満足を覚える車を世界に提供することを主要なビジネスとして標榜してきたトヨタにとっては、その基本概念を否定しかねない発想です。

 トヨタがこのウーバーとの提携に踏み切ったのは、そこには、このような「クルマ社会の革命」が本当に起こるのであれば、その流れは不可逆的だという危機感があるのだと思います。もしそうならば、早くその変化の流れに乗って行かなければ企業自体の方向転換が間に合わなくなるということではないでしょうか。

 トヨタは実際の出資額は未定としています。具体的な協業内容としては当初はウーバーのドライバーにトヨタファイナンシャルシステム(TFS)が車両をリースし、ドライバーが得た収入からリース料を支払う仕組みを構築するようです。

 GMやVWがドルベースで億単位の出資をしている事を考えると、トヨタも中途半端な出資額ではない様な気がしますが・・・どうでしょう?

 書く事が無かったので、結構古い出来事を書いて恐縮です。

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