SSブログ

電動車いすの飲酒運転はどうなる?

 今回は「電動車いすの飲酒運転はどうなる?」を書こうと思います。

 これも前回に書いた「1DPI日本会議」絡みの話になります。2018年にデパートとビール工場で電動車いす使用者が試飲を断られる案件が連続で発生したことに「電動車いすでの飲酒」の可否が問題になりました。貴方はどう思いますOKorNO?

先ず、「道路交通法上、電動車いすの利用者は歩行者か」という疑問が浮かんできます。電 動 車椅 子( 道 路 交通 法 ( 昭 和 三 十 五年 法 律第 百 五号 ) 第 二 条第 一項 第 十 一号 の三に「身体障害者用の車椅子 身体の障害により歩行が困難な者の移動の用に供するための車椅子(原動機を用いるものにあっては、内閣府令で定める基準に該当するものに限る。)をいう。」という車椅子に関するものが有ります。又、第2条の3には「歩行者」の規定があり、「この法律の規定の適用については、次に掲げる者は、歩行者とする。」と有り、それには「身体障害者用の車椅子又は歩行補助車等を通行させている者」と有るので、道交法上は「電動車いす」=「歩行者」の扱いになっています。

又、酒気帯び運転等に関しては、同法第六十五条第一項に定められていて 、「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」とされていますが、当該、車両等には 、電動車椅子は含まれないとされています。

 では「1DPI日本会議」は何が気に食わなくて噛みついたのでしょう。それは、平成14年度に警察庁が、(財)日本交通管理技術協会(現(公財)日本交通管理技術協会)に委託して、「電動車いすの安全利用に関するマニュアル」を作成し、その中に「少量のアルコールでも電動車いす利用時の判断や操作を誤らせるおそれがあります。お酒を飲んだら電動車いすは利用しないようにしましょう。」という事が記載されています。又、「電動車いすの利用中に携帯電話を使用すると、電動車いすの操作が不安定となるほか、周りへの注意も散漫になります。したがって、電動車いす利用中に携帯電話を使用しないようにし
ましょう。」と携帯電話の使用もやめましょう、との記載も有ります。

 デパートとビール工場で電動車いす使用者が試飲を断られる案件はこの警視庁の作成した「電動車いすの安全利用に関するマニュアル」に基づくものだった様です。

 「1DPI日本会議」は、道路交通法第二条3の歩行者の定義を挙げ、電動車いすは歩行者なので、歩行者は飲酒や服薬を禁止されていないのに、マニュアルでは禁止しており、道路交通法に矛盾していろ。と言っています。又、「おなじ歩行者なのに、電動車いす使用者にのみ飲酒や眠気を促す薬の服薬を禁止することは、障害に関連する電動車いすを理由に障害のないものと異なる取り扱いをしており、これは障害者差別解消法の不当な差別的取扱いに当たる。」とも述べています。・・・レフト的な言葉使いです。草


 政府は、電動車いすが歩行者に該当すると認めつつ、「電動車椅子は 、原動機を用いる機 械であり 、飲酒してこれを利用した場合には利用者の判断や操作を誤らせ 、利用者自身 や周囲の歩行者等が事故に遭う危険を生じせ得るものであることから 、警察庁として は 、その利用者等に対し 、飲酒してこれを利用しないよう呼び掛けているところ」と答弁しています。

 道交法に違反していないのに警察庁が飲酒を禁止する様にしているのは、統計上、電動車椅子の事故が増えていることや、電動車椅子の中には、俊敏な動きをするものもあることなどから、総合的に判断して、禁止しているものと思います。

 詰まる所、電動車いすの飲酒運転は、個人の自由を保証した、基本的人権をめぐる議論になっていく様な気がします。言う迄も無く、基本的人権が保証する自由は無制限ではありません。飲酒は20歳から認められている権利ですが、飲酒後に、自動車や自転車の運転が禁止されているのは、他人の自由を奪うリスクが高い(事故率が高い)と判断されているから、飲酒運転は禁止されいています。
 
 人権には,国家によってさえも侵されることのない「不可侵性」という性質がありますが,それは単に「他人の権利を不当に侵害しない限り」において保障されている権利にすぎません。なので、人権は他の人権と矛盾・衝突することが多々有ります。

 さて長くなりましたが、「電動車いす」使用者の人権、換言すれば、電動車いすで飲酒する権利は・・・有るor無い?

 そう言えば、「公共の福祉」という言葉も人権を語る上では重要な様な気がしますが?

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:求人・転職

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント