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日交の厚生年金基金

 今回は「日交の厚生年金基金」を書こうと思います。

 現在、厚生労働省では厚生年金基金制度の廃止も含めた抜本見直しに着手しています。その背景には基金の財政が悪化し、それに歯止めがかからない状況がある様です。

 厚生年金基金が①3事業年度の決算において、連続して、積立金総額が最低責任準備金(当該決算時点で解散する場合に最低限保有しておき、返さなければならない額)の9割を下回った基金、②直近に終了した事業年度の決算において、積立金総額が、最低責任準備金の8割を下回った基金は指定基金として指定がなされます。

 現在の指定基金総数は97基金ある様です。

 話が前後しますが、厚生年金基金は、企業が設立し、老齢厚生年金の一部を国に代わって給付するとともに、独自の上乗せ給付を行う制度です。言い換えると、基金が無い厚生年金は2階建てで「国民年金+厚生年金」になりますが、基金が有ると4階建てになり、「国民年金+厚生年金+厚生年金の代行部分+基金独自の上乗せ部分」になります。基金の3階部分までは「国民年金+厚生年金」と同額になります。

 換言すると、国に治める厚生年金部分の一部を基金が運用して配当を上乗せ部分として支給する形です。

 支給は共に2階部分までの国民年金+厚生年金は国からの支給になりますが、厚生年金の代行部分+基金独自の上乗せ部分は基金からの支給になります。

 指定基金に指定されると、上乗せ部分が無くなり通常の2階建て部分までの国からの支給のみになってしまいます。

 問題が発覚したのは皆さんも記憶に有ると思いますが、AIJ投資顧問会社株式会社という運用会社が、企業年金から預かっていた資産約2000億円のほとんどを消失してしまった事が発端で、企業年金問題が浮上しました。

 日本交通はグループで独自の厚生年金基金を運営している。この基金を解散させようと模索していましが、結局は解散が出来ずに断念した結果、厚生労働省が平成18年12月27日に日本交通連合厚生年金基金を指定基金にしました。

 その後、加入員の89.4%と事業主の同意のもと厚生労働大臣へ解散の認可申請・特例措置の承認申請を行い、平成26年8月1日に解散が許可されました。

 以前、日交の買収の話が有った様ですが、簿外の年金基金の積み立て不足金が三百億円前後もあることを知ってか知らぬか分かりませんが、それを相手からの指摘で判明して決裂した様です。

 いくら王子が何十億出資を募ったと小躍りしても、年金基金積立金が300憶円と聞くと・・・踊っている場合ではないのでは。

 基金解散で苦しむのは、運転手とその家族です。

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